神奈川を瓦礫から守る会

私たちが反対する根拠 1
<放射能汚染の脅威>

4.放射性物質の入ったセメントが出回る?

なぜこれほど害があると言われているがれきを政府は頑なに全国にばらまこうとしているのでしょうか。 まず、琉球新報さんの論壇「がれき処理 特措法は憲法無視 リサイクル流通は危険 」をご覧ください ※1

震災がれき受け入れ問題で、私はもう一つ懸念していることがあります。それは、特別措置法 (平成23年8月30日法律第110号)※2によって定められた安全基準値に基づいて、全国で震災がれきを原材料としたリサイクルが合法的に行なわれることです。

今、賛成・反対と議論をしている震災がれき問題は、自治体の焼却施設を利用した処理に関してのことです。 特別措置法は広域処理を可能とするだけでなく放射能汚染されたがれきのリサイクルも合法化することができます。

原子力施設の事業所内では今でも従来の安全基準値が厳守されています(クリアランス制度)が、特措法は一般住民が暮らす環境下でのがれきの焼却・埋め立て処分などの安全基準値をいきなり80倍にまで引き上げたのです。さらに国は安全性について根拠を示していません。科学者や市民団体のみならず、一部の自治体もこのことを指摘しています。(神奈川県も、筆者註

震災がれきを受け入れないことが自治体で決定されても、震災がれきを原材料とした製品の流通を止めることができません。

現行特措法がある限り、それは合法的に行なうことができるのです。

それらを懸念して、北海道の黒松内町長は、セメント会社ががれき焼却灰を原料の一部として生コンクリートを拡散させることが予想されると指摘しています。
さらに、学校の改修や公営住宅の建設が予定されている同町では、低濃度被曝を避けるために放射能入りコンクリートを使用させることは絶対にできないと決意を述べています。

このように今、私たちが直面している最大の問題は、原子力施設の事業所内では許されないほどに引き上げられた、特別措置法による安全基準値なのです。
一般の人たちが暮らす生活空間のほうが原子力施設の事業所内より放射能濃度が高いことを容認している法律なのです。

私たちが震災がれき受け入れ問題に目を奪われている間に、放射能汚染されたがれきのリサイクルが始まろうとしています。これは民間企業が請け負って行なわれます。私たちはこれを黙認するしかないのでしょうか。

憲法や法律を正しく守れば、特別措置法は成立しないはずです。この法律が憲法や既存の法律を無視していることはすでに指摘されています。
だから、特別措置法によって定められた安全基準値に異を唱えることが大切なのです。
その最初のステップが広域処理を止めさせることです。

それが私たちの未来を守ることにつながっているのです。 放射能管理の原則「拡散を防ぐ」を厳守しない限り私たちの未来は失われてしまいます。

このように、国は環境省ガイドラインに、震災がれきのリサイクル用製品についてセシウム濃度100 bq/kg以下を安全基準にすると適用範囲を拡大したのです※3

今までの法律では、がれきは一般廃棄物なので現地から他県へは動かせませんでした。
しかし広域処理のために現地と他県の間での自治体間協定が可能になり、例えば太平洋セメントなどの民間企業が引き受けたがれきも、同社の県外工場(全国に6工場)で処理したうえでリサイクル資源として流通が可能となったのです※4

各地で広域処理の受入れが確立すると、がれきの流通ルー トが確保され、放射性物質を含むリサイクル製品が全国に出回 ることになります。
これが、政府が20%の広域処理をすすめた 本当の理由だとも言われています。

政府は、公共工事の入札で優遇制度(インセンティブ)を導入してまで、木くずや可燃物、不燃物を石灰石などと混ぜて高温焼成してセメントにすることを推奨しています(国交省)※5 ※6
これを受けて三菱マテリアルは、国内の5セメント工場すべてで災害廃棄物を受け入れることを決定しました※7
太平洋セメント熊谷工場・埼玉工場では、がれきの焼却灰をセメントに混ぜて製品化しており、このセメント製品からセシウムが検出され続けています※8

公表された放射能測定結果から算出したところ、自宅壁面や床がこのセメントで塗り固められた場合、10cm四方で1kgなら数十万bq/日の被曝となる勘定です※9
埼玉県から着実に、放射性物質が日本中にばら撒かれているのです。 このようにして、セメントなどリサイクル品の中にある放射性物質に由来する汚染は全国へと拡大していき、私たちは日常生活の中で知らない間に微量ながらもこれらの放射線を被曝し続けることになるのです。

泉田新潟県知事の名言、

放射性物質は100 bq以上と100 bq以下で、放射性物質になったり放射性物質でなくなったりはしません。放射性物質は1 bqでも放射性物質です※10

私たちの想いの全てがここに言い尽くされています。


さらに、特に首都圏から出された高濃度汚染焼却灰も、リサイクルと称して各地のセメント工場に運び込まれています。その結果、すでに、エコセメント工場の排水から高濃度のセシウムが垂れ流しになっており、住民による請願活動も行われる大問題となっています※11


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